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【辛酸なめ子コラム】半沢直樹、眉間のしわで威嚇しあう男の顔芸祭り&おじさんBL要素も?

#及川光博 #賀来賢人 #堺雅人 #香川照之
2020年7月23日 by

超人気作「半沢直樹」の続編が7年ぶりにスタート。初回は平均視聴率22.0%をマークし、早くも話題沸騰です。(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)

コラムニスト・辛酸なめ子さんも「半沢直樹」続編の放送に期待を高まらせていたひとり。さっそく第1話を視聴した感想を語っていただきました!

銀行員なのに戦国武将!伊佐山役・市川猿之助の”ワルかわいい”魅力

半沢直樹の続編がついに始まりました。TBSでは番宣祭り状態で、出演者があらゆる番組に出まくっていました。初回は拡大バージョンで今までの経緯を振り返りつつ新たな金融ドラマが展開します。前作では、半沢直樹が銀行内で次々と不正を明らかにし、宿敵の大和田を土下座させるという衝撃の最終回がインパクト大でした。

今回は東京中央銀行の証券営業部部長、伊佐山が半沢への恨みをぶちまけるシーンからスタート。
「あいつのせいで、あの土下座のせいで何もかもぶち壊しだ!」「ぜってぇに許さねえ!世界の果てまで追い落としてやる!!」銀行員は冷静沈着なイメージでしたが、このドラマにおいては戦国武将のようです。伊佐山を演じているのは市川猿之助なのですが、宿敵役なのに育ちの良さがにじみ出ていてなぜか憎めません。ワルかわいい魅力が以降も炸裂していました。

いがみあいや仲間割れ…ソーシャルディスタンス以前の心の距離

ストーリーとしては、半沢が出向した東京セントラル証券で、IT企業「電脳雑技集団」に買収の相談を持ちかけられます。1500億円もの巨額が動く案件で成功報酬も高額になり、なんとしてでも成功させなければ、と営業企画部部長の半沢が率いるチームは気合を入れてのぞみます。

しかし大手のIT企業だそうですが社名とロゴが若干ダサいような……。社長と副社長の平山夫妻(妻役は南野陽子)もくせ者オーラを放っています。その電脳雑技集団が買収しようとしているのが、瀬名社長率いる新進のIT企業の「スパイラル」。若手3人で起業したという、かつてのライブドアを思わせる会社です。そのスパイラルの株式を30%以上取得するというのが電脳雑技集団の狙いです。

男は家を出れば七人の敵がいる、という言葉がありますが、銀行では派閥闘争があり、証券会社でも、プロパー組(新卒で就職)と出向組(銀行から出向)がいがみ合っています。そして買収しようとしているスパイラル証券内でも仲間割れが……。ソーシャルディスタンス以前に心の距離が広がっています。ディスタンスといえば、感染症対策なのか、広くてゴージャスな会議室で打ち合わせするシーンも目立ちました。

脇が甘い銀行員たち。ハラハラする情報漏えいの可能性

半沢が仲間と飲みに行くシーンでは、他の席のお客さん役の方々が、声を出さずにジェスチャーで談笑している風の演技をしているのも感染防止策でしょうか。 そんな中、連れ立って飲みに行っては社内の動きや噂話に明け暮れる男たち。周囲に聞こえまくっていて、情報漏えいしてそうです。

他の銀行社員も行きつけの小料理屋で、会話を聞いて意味深な表情をする情報通のおかみがいたり、半沢と仲間たちは結構脇が甘いような……。半沢の盟友で融資部の渡真(及川光博)は銀行の情報を頻繁に半沢に流しているのですが、社内で「1500億?」とか大きな声で電話で言ったりしていてハラハラします。派閥関係に気を取られている他の行員は気づかないのでしょうか……。

その後、何らかのリークがあり、セントラル証券に依頼があった電脳雑技集団のアドバイザリーの仕事を東京中央銀行が横取り。時間外に敵対的買収をしかけ、スパイラルの株30%以上を取得。ドラマの途中で「時間外取引」の説明もあって親切です(株式市場が開いていない時間に、株式を売買することだそう)。今回のストーリーもわりと把握しやすいです。

誰をかわいがるのか、おじさんBL要素も見え隠れ!? 土下座プレイに期待!

そして半沢直樹といえば「土下座」「倍返し」という一般視聴者の期待に初回から答えてくれます。といっても土下座までは行かない、寸止め土下座のような座った体勢のお辞儀シーンが何度か出てきました。

例えば、伊佐山がうかい亭的なお店の個室で、三笠副頭取を迎えるシーン。土下座っぽい深い坐礼には上司への完全服従の意思が現れていました。大和田取締役を慕っていると見せかけて、寝返って三笠副頭取に忠誠を誓う伊佐山。「裏切るときは徹底的に裏切らないとなりません」と三笠副頭取は満足げな表情を浮かべていました。誰をかわいがるか、おじさん同士のBL的な要素も……? 土下座的な行為は、犬が飼い主にお腹を見せるような忠誠を誓う所作でもあるようです。

スパイラル元社員で株を売った清田と加納も、副頭取と会食時に「お会いできて光栄です!」とプチ土下座的な坐礼をしていました。今後、もっと激しい土下座プレイのシーンが出てくることを期待します。ちなみに株を売った二人に礼金をプラスして払われたのは790億。今の時代にそんな景気が良い話があるとは……。

肝心の「倍返し」については中盤に類似のセリフが出てきました。大和田が、自分を救ってくれた中野渡頭取に対し「施されたら施し返す。恩返しです!それが私のモットーでございます」と感謝を述べていました。倍返しから恩返しへ……。伊佐山もかわいくて憎めないし、本当の悪人はこのドラマにはいないのではないかと思えてきます。それにしても行内の派閥闘争や、根回し工作など、銀行員が無駄な業務にかなりの労力を使って生産性が下がっているような……。実際の銀行はどうなっているのでしょう。

「倍返しだ!」は金運アップの呪文!景気がいい堺雅人

初回の最後にはついに「倍返し」のセリフも飛び出しました。汚い手を使って買収に手を貸した東京中央銀行の伊佐山に「この借りは必ず返します。やられたらやり返す。倍返しだ! 」とすごんだ半沢。ついに出ました倍返し。

復讐心が強い半沢ですが、買収工作に関しては「(銀行員にとって大切なのは)人や会社の成長を願い手助けをすることだ。そこには勝ちも負けもない」と良い人っぽい格言を放っていました。銀行界の良心です。倍返しということは3000億のお金が動くことになるのでしょうか。

そこまではいきませんが、景気が良いといえば半沢直樹役の堺雅人です。番宣に出まくった上、この番組中のBOSSやマクドナルドなどのCMに出演。収入がひとり倍返し状態なのでは?と推察。「倍返しだ!」は金運アップする呪文なのかもしれません。

TVログで「半沢直樹」を星評価!

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辛酸 なめ子

漫画家・コラムニスト 武蔵野美術大学短期大学部デザイン学科卒。雑誌連載、執筆活動の合間を縫ってテレビ出演も。

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