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【映画ライターが分析】あどけなさが残る”永遠の少年”、俳優・神木隆之介の5つの才能

#神木隆之介
2020年9月4日 by

映画ライターのSYOと申します。日本のドラマ・映画界に欠かせない俳優さんの「5つの魅力」を分析する本企画、12回目は満を持して神木隆之介さんを紹介させていただきます。

現在27歳の神木隆之介さんですが、芸歴はなんと25年。国民的俳優であり、誰もが知るアイコニックな存在であり、あどけなさがずっと変わらない“永遠の少年”。最近では盟友・佐藤健さんに続き、YouTubeチャンネルを開設。なお一層親しみやすいキャラクターで、新たな魅力を披露しています。

正直、神木隆之介さんを一言で表すなら「尊い」であり、何をしていても観ているこっちの脳内は「いい、かわいい、尊い」になってしまう……。そのため今回は、映画を中心に、演技面の魅力にフォーカスして書いていきたいと思います。

引用: Hulu

1 少年時代から突出していた“安定感”

引用: Hulu

デビュー初期から、その演技力が絶賛されていた神木隆之介さん。

映画では、彼について語るうえで外せない作品があります。それは2005年に公開された主演映画「妖怪大戦争」。鬼才・三池崇史監督の作品で、当時のVFX技術がふんだんに盛り込まれた超大作です。

本作で神木隆之介さんは、人間と妖怪が混在する世界で、勇者の資質を持つ少年に扮しており、成長のグラデーションを丹念かつ見事に演じ切っています。彼の演技の大きな特長は「安定性」にあるかと思いますが、周りが人間でなく「妖怪」という状況でも説得力をもたらせられる部分に、末恐ろしさを感じさせられます(しかも、豊川悦司さんや忌野清志郎さんと相対しても渡り合えているからスゴい!)。

その後に主演した映画「遠くの空に消えた」では、行定勲監督が構築した東洋と西洋の文化がミックスされた独特な世界観で、無垢な少年として輝きを放っています。こちらでは、田舎に越してきた都会っ子という“異物感”を漂わせながらも、地元の少年たちと友情をはぐくんでいく“変化”を的確に魅せ、さらに、様々な欲にまみれた大人たちに対抗する“清純さ”を作品全体を通して放ち続ける、極めて重要な役割を果たしています。これも、彼の安定性がなせる業ですね。

映画「Little DJ 小さな恋の物語」では、難病を患った主人公を熱演。こちらもベースの安定感がなければ演じられない役どころですし、今観ても演技に初々しいブレが見受けられない。この当時から、神木隆之介さんの演技は完成されていたのだとうならされます。

2 役によってオーラを“消去”できる

オーラの塊のような神木隆之介さんですが、非常に興味深いのが、いわゆるザ・主人公!なキャラクターでなく、目立たないタイプの若者をナチュラルに演じられるということ。つまり、オーラを役に合わせて消せるのが、彼の特質です。

神木隆之介さんの代表作である映画「桐島、部活やめるってよ」は、まさにそのスキルが発揮された1本。ヒエラルキーの底の方にいる“陰キャ”をびっくりするほど自然に演じていて、クラスの女子と外でばったり会った時のキョドり具合とか、教室で息をひそめている感じ、気の合う仲間にだけ強気になる内弁慶な部分など、痛いほど“わかる”演技の連続です。しかし、最終的には最も主人公属性から遠かった神木隆之介さん演じるキャラクターが主人公に昇格しているから、あっぱれとしか言いようがありません。

棋士役に挑戦した「3月のライオン」も非常に大変だったであろう役どころで、若き天才でありながら家族を事故で亡くして天涯孤独、クラスでは全く注目されない高校生というバランス保持が相当難しい主人公を、時にふわりと、時にずしんと演じました。しかも、ナレーションを後から入れるとはいえ、将棋を指しているときは、表情だけで見せなければいけない局面も多く、生半可な演技力では太刀打ちできません。ある種、神木隆之介さんのむき出しの表現力が克明に刻まれた作品といえるでしょう。我慢して、耐えて、抑えて、最終的に感情を爆発させて路上で叫ぶシーンは、いつ観ても突き刺さります。

今ご紹介したどちらの役も、神木隆之介さん以外には演じられない役といえるでしょう。主人公感がない主人公、だけど観客を引き付ける“何か”を幽かに発光させなければならない。

「型にハメる」外から作る演技と「型を外す」内から作る演技の“二刀使い”、これもまた神木隆之介さんのスゴさといえます。

3 爽やかさを封印!“汚れ役”も違和感ナシ

そしてこれも面白いのですが、神木隆之介さんはダークな役どころも結構演じられていて、普段のイメージが爽やかなぶん、一気に怪しさが増すのです。

代表的なものは、実写映画「るろうに剣心」とドラマ&映画「SPEC」でしょうか。どちらも主人公と対決する敵役であり、神木隆之介さんの冷たい熱演が強烈に残ります。中でも映画「るろうに剣心」の方では、人間らしい感情を消失した天才剣士・瀬田宗次郎に扮し、佐藤健さん演じる主人公・緋村剣心と死闘を繰り広げるなど、アクションスキルも見せつけています。剣心と闘う中で激情に歯止めが利かなくなり、狂気を帯びていく歪な感情表現は、生々しくもあり、痛みが付きまといます。本作では、神木隆之介の美しさも神がかっており、耽美な魅力にくらくらさせられます。

福士蒼汰さんと共演した映画「神さまの言うとおり」では、謎の存在によるデスゲームに巻き込まれたことで、残忍性に拍車がかかる危ない高校生をギラギラと演じました。共感のできなさという点では、結構珍しい役なのではないかと思います。重めのパーマヘアというビジュアルも、普段のイメージとはかなり違っています。

そして、映画「太陽」。こちらは、人気舞台の映画化で、人間が夜しか生きられない種族と、彼らに支配・管理される種族に分かれてしまった世界を舞台にしたSFです。かなり特殊な雰囲気と世界観で構築されていますが、神木隆之介さんの地に足の着いた演技が、観ている人の感覚と映画の感覚をつないでくれる“かすがい”となっています。しかしだからこそ、終盤に神木隆之介さんが見せる、身を切られるような絶叫が強烈に響きます。

4 ファニーな“顔芸”炸裂!コミカル演技もこなす

「ナイーヴ」「汚れ役」と、どちらかといえば暗めのキャラクターについて紹介してきましたが、当然イメージに合致した爽やかな役柄や、明るさがまぶしい演技もお手の物。auのCMで演じている「意識高すぎ!高杉くん」などは、観ているだけでクスクス笑わされてしまいますよね(今だに高校生役に違和感がないのもスゴい……)。

映画では、プロの漫画家を目指す高校生に扮した「バクマン。」や、かるーい高校生をコミカルに演じた「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」などが挙げられます。映画「バクマン。」では、佐藤健さんとともにコンビを組み、最高の漫画づくりに情熱を燃やす若者を熱演。「るろうに剣心」のときとは全く違う2人に、驚かされることでしょう。

宮藤官九郎さんが監督・脚本を務めた映画「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」では、事故で亡くなり、地獄にたどり着いてしまった高校生を馬鹿馬鹿しいまでにヘラヘラと好演。神木隆之介さんはこんな演技もするんだ……!と新たな発見になるはずです(途中、鳥まで演じています)。全身真っ赤の鬼に扮した長瀬智也さんとの掛け合いも、笑えてきます。

映画「屍人荘の殺人」では、クセの強いキャラクターを演じた中村倫也さんと浜辺美波さんの間を縫うように、“受け”の演技でバランスをとりました。彼らが安心して濃ゆい演技に集中できたのも、神木隆之介さんの懐の深さがあってこそかと思います。

これらの役では、テンションをぐっと上げた“顔芸”も披露。ナチュラルな演技、シリアスな演技とのギャップを見るにつけ、やはり天才と言わざるを得ません。

5 アニメ業界からも引っ張りだこ!他の役者にはない“声”

そして……神木隆之介さんといえば、声の演技も超一流です。なんと、ジブリ映画・ドラえもん映画・細田守監督作品・新海誠監督作品のすべてで声優を務めています。ここまで名だたるアニメのクリエイターたちから愛されている役者は、他にいないのでは……? この並びを見ても、いかに彼の声が希少かがよくわかります。

その中で、1つを挙げるとするなら……やはり映画「君の名は。」でしょうか。都会に暮らす男子高校生と、田舎に暮らす女子高生が入れ替わってしまう本作。神木隆之介さんは「男子高校生の演技」と「中身が女子高生で、声だけ男子高校生の演技」の2つを演じ分けなければなりませんでしたが、クスッと笑える要素を残しつつ、観る者がぐっと没入できるように丁寧に表現しています。

身体全体で演技をする役者と、声に身体性も何もかも乗せられる声優の演技のズレは、往々にして生じてしまうもの。しかし神木隆之介さんの声の演技には、「無理をしている感」がまるでありません。いかに彼が利発であるか、本作を観るとよくわかります。

「君の名は。」が歴史的なヒットを記録した要因の一つに、神木隆之介さんの妙演があることは言うまでもありません。ちなみに本作、相手役の上白石萌音さんのほかに、ヒロインの同級生役で成田凌さんが声優を務めています。

まとめ

改めて俳優・神木隆之介さんについて分析してみると、そのオールラウンダーぶりにおののきます。なんといっても、彼の演技には“クセ”がない。神木隆之介という“ブランド”は確固たるイメージがあるのですが、演技だけを抽出したときに、完璧すぎて付け入るスキがないのです。

それでも無理やり総括すると、やはり彼の異能は、「安定感」に尽きるでしょう。ブレない、ズレない、崩れない。演技を「目立たせる」役どころであれば大仰にするし、演技を「なじませる」役どころであればフラットに切り替える。攻めの演技も受けの演技も、クオリティが変わらない。オーダーに合わせて最適なものを出せる適応能力がずば抜けているから、神木隆之介さんはずっとトップオブザトップなのだと思います。

語りようがないほど、実力が歴然としている神木隆之介さん。彼の俳優道は、この先も堅固に伸びていくことでしょう。

神木隆之介 歴代出演ドラマを星評価!

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SYO (映画ライター)

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイトの勤務を経て映画ライターに。「CINEMORE」「FRIDAYデジタル」「Fan's Voice」「映画.com」「新R25」「DVD&動画配信でーた」等に寄稿。Twitter「syocinema」

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