カテゴリ一覧

TVログバナー

【映画ライターが分析】闇堕ちキャラからコミカルキャラまで変幻自在!役者・窪田正孝の5つの才能

#窪田正孝 #SYO
2020年4月27日 by

映画ライターのSYOと申します。日本のドラマ・映画界に欠かせない俳優さんの「5つの魅力」を分析する本企画、第6回目は、窪田正孝さんについて書かせていただきます。

窪田正孝さんは、1988年生まれの31歳。榮倉奈々さんや新垣結衣さん、吉高由里子さん、松坂桃李さん、戸田恵梨香さんたちと同い年です(改めて見ると、この世代とんでもないですね)。高校生の時に芸能界入りし、2006年にデビュー。今日まで、コンスタントに出演数を重ねてきました。

現在は、NHK連続テレビ小説「エール」で主演を務め、サッポロビールのCMにも出演中。先日、妻の水川あさみさんのインスタライブ(Instagramのライブ配信)中にサプライズで乱入したことも大いに話題を集めました。2月に公開された主演映画「初恋」は映画ファンにも絶賛され、窪田正孝さんの演技も高く評価されています。

「HiGH&LOW」シリーズのスモーキー役やNHK連続テレビ小説「花子とアン」など彼のキャリアを代表する作品は多々ありますが、今回は窪田正孝さんの得意技である「豹変」を中心に据えて、分析していきたいと思います。

引用:Hulu

1「闇堕ちキャラ」を演じさせたら天下一品

窪田正孝さんの一般的なイメージは「演技派」かと思いますが、ではどんな部分が秀でているのでしょう? 演じ分けが上手いのはもちろんですが、彼には「鉄板」といえる役のタイプがあります。それが、「闇堕ちキャラ」です。

「闇堕ち」というのは、その名の通り悪に染まってしまうこと。メジャーな例だと、ドラマ版「デスノート」が挙げられます。原作漫画やアニメ版、藤原竜也さんが主演した映画版とは大きく異なる設定がされた本作で、窪田正孝さんは「名前を書いた人間は死ぬ」ノートを手にしたことで常軌を逸していく大学生を熱演しています。

もともとは善人だったのに、次第に歪んだ正義感を発揮していき、最終話ではダークサイドに完全に落ちた「狂気の権化」と化してしまう……。空気がびりびりと震えるような熱演は各方面から絶賛され、窪田正孝さんの存在感と演技力を世に知らしめる機会になりました。

映画であれば、「闇金ウシジマくんPart2」で演じた新人ホストも、緩やかに外道へと堕ちていくキャラクター。No.1ホストになりたいあまり、門脇麦さん演じる客を破滅へと駆り立ててしまう男を、無邪気と欲望が絡み合った危ういバランスで演じています。底辺にまで堕ちた彼が最後に見せる表情は、何とも言えない複雑な感情を呼び起こすことでしょう。

ちなみにこのシリーズでは、林遣都さん、中村倫也さん、菅田将暉さん、柳楽優弥さんといった面々が、他では観られない強烈なキャラクターに挑戦しています。若手演技派の登竜門的なポジションともいえるでしょう。

2 一瞬で役が豹変!予備動作なしの「別人演技」

上に挙げた2本は、時間をかけて人物が堕ちていく様子を丹念に積み上げた作品ですが、ここからが窪田正孝さんの真骨頂。なんと彼は、瞬時に“別人”の域まで役を変貌させることができるのです。

スローに沈む演技も、秒で壊れる演技も、どちらも自在。まるで少年漫画に出てくるチートキャラ(ズルいくらい強い人)のようですが、窪田正孝さんを観ていると「マジで二次元」と思わざるを得ません。だって彼は、これらの属性に加えて、脱いだらムキムキ。アクションもできるのだから……。

彼の代表シリーズのひとつである映画「東京喰種トーキョーグール」では、大人しい文学好きの青年が、人を食らう異形の存在・喰種(グール)に変貌する姿を鬼気迫る演技で魅せてくれます。人間の食べ物を受け付けなくなり、食べては吐きを繰り返す衝撃シーンや、聞いているだけで骨がきしむ絶叫、そして“覚醒”してからの怒涛のアクション。原作に満ち満ちている禍々しさを完璧に“実体化”させています。

蜷川実花監督と組んだ「Diner ダイナー」では、普段は温厚で繊細な性格ですが、あるモノがトリガーになると気が狂ってしまう殺し屋を、最大級の出力で演じきっています。銃を乱射する姿から伝わるのは狂気以上に、途方もない哀しさというのが切ない。

出演時間が短いにもかかわらず、超重要キャラクターを見事にものにしてみせた「るろうに剣心」では、佐藤健さん演じる剣心に十字傷を負わせた武士を熱演。一瞬にして命の危機に瀕し、圧倒的に剣技の差がある人斬り抜刀斎(剣心の昔の呼び名)に挑む姿は「生きたい」という執念を全身で体現しています。今夏公開予定のシリーズ最新作では、彼の存在が鍵を握ることに……。今のうちに復習&予習をオススメします。

3 役に“陰影”をもたらす「匂わせ演技」

ここまで紹介してきたのは、ある種の極限状態に置かれた人物たち。日常を「+(プラス)」とした際の「-(マイナス)」を「人並み以上に落とせる」のが窪田正孝さんの特殊技能ですが、高低差だけでなく「高」に「低」を常に混ぜた、ブレンド演技も非常に上手い。

代表的なのは、幸福なシーンでも常に不穏な“予兆”を感じさせるドラマ「Nのために」や、周囲にはいえないある“秘密”を抱えた「アンナチュラル」のバイト青年あたりでしょうか。どちらも作品として傑作なのですが、本作での窪田正孝さんの「場の空気を壊さず、ひとさじの不穏をもたらす」演技は実に素晴らしい。

映画「64 ロクヨン」シリーズでは、誘拐事件の責任を背負い込み、引きこもってしまうナイーブな捜査員を演じました。こちらも、初登場時からその後の運命を匂わせるような演じ方が印象的です。

生田斗真さんが主演した映画「予告犯」では、犯罪者である主人公の逃亡をほう助する“善良な市民”に。「人は、誰かのためになると思えば動くんです」というセリフは、作品全体のテーマにもかかわる大切な考え。1本の映画としても、完成度が高い傑作です。

4 キャラクターの「素」を作り出す職人

精緻に作り込んだ繊細な演技、瞬発力と爆発力を最大化した演技……。窪田正孝さんの魅力は、まだまだあります。そのひとつが、思わずクスッと笑わされてしまうような「素」が混じった演技。

「エール」では、二階堂ふみさん演じる妻と共に、音楽の夢をまい進する青年を人間味たっぷりに演じています。お人好しでちょっぴり頼りなく、だけれど才能にあふれた愛すべき人物。びっくりしてどもったりテンパったりといった窪田正孝さんの可愛らしい演技が大きな見どころです。

主演ドラマ「ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜」では、本田翼さん扮する初恋相手と共に働くために診療放射線技師になった一途な青年をコミカルに演じました。ラブコメ要素たっぷりながら、人命を救うために情熱を燃やす医療関係者たちの熱いドラマでもある。笑うと八重歯が覗くのが窪田正孝さんのチャームポイントですが、本作では素敵な笑顔をたっぷり堪能できます。

ドラマ「ケータイ捜査官7」で才能を見出してくれた“恩人”の三池崇史監督と再び組んだ映画「初恋」では、ヤクザとチャイニーズマフィア、警察の抗争に巻き込まれる余命わずかなボクサーといった設定盛り盛りの作品の中で、徹底してフラットな演技を披露。個性的なメンバーの中で、唯一の“普通”な人物として、荒唐無稽になりすぎないように物語全体を引っ張っています。新しい「座長」の在り方を示してくれた作品といえるでしょう。

これらの作品で恐るべきは、ご本人ではなく、役の“素”になっているところです。つまり、演じるキャラクターによってそれぞれ違った“素”を見せてくれるということ。これは狙ってもなかなか容易にできるものではありません。

5 スーツでキメる!「モテキャラ」も自在

いよいよ最後の項目です。皆さん、お気づきでしょうか。実は、1→2→3→4と窪田正孝さんが演じるキャラクターが「闇」から「光」属性に向かっていることに……。ということで5では、窪田正孝さんが演じた「明るい」モテキャラをご紹介します。

ちょっと“キョドッた”キャラクターもこなせる窪田正孝さんですが、まぶしいくらいの好青年もしっかりできるところは流石。ちなみに、彼とは一度インタビューでお会いしたことがあるのですが、ご本人はお話し好きのとっても爽やかな方でした(そして声が優しかった。笑顔も素敵だった)。

2012年に放送された「JR SKISKI」のCMをご存じでしょうか? 本田翼さんのブレイクのきっかけのひとつになったCMですが、こちらで窪田正孝さんはヒロインが想いを寄せる同級生を実にカッコよく演じています。スキーウェア×白銀の世界×イケメン演技の破壊力が半端ない。

ドラマ「最高の離婚」では、永山瑛太さんと尾野真千子さん扮する元・夫婦の恋敵になる配達員を、善人オーラ100%でキラキラと演じています。シリアスなキャラクターの印象が強い方は、観ると驚くかもしれません。確かに、これは揺らぎますね。

スーツ姿の窪田正孝さんを観たいなら、映画「犬猿」をどうぞ。真面目が取り柄ながら、言うときは言う人間臭い人物を飄々(ひょうひょう)と演じています。兄弟姉妹の愛憎を描いたヒューマンドラマになっており、抑えきれない感情が爆発して絶叫する見ごたえたっぷりのシーンもあります。スーツといえば、サッポロビールやunoのCMで魅せるキリっとした姿も、すごく良い。

 

はい! 長くなってしまいましたが、以上で今回は〆とさせていただきます。改めて窪田正孝さんを分析させていただき、興味深かったのは、ファン1人ひとりで推し作品が違うこと。それだけ役の幅が広いという証拠なのでしょうね。

同時に、窪田正孝という俳優の全貌も全容も、私たちはまだまだ掴めていないのかもしれません。チートキャラのまま、どこまでも走っていってほしいものです。

窪田正孝 歴代出演ドラマを星評価

TVログでは、窪田正孝さんが出演している歴代ドラマに星評価をつけることができます!よかったら評価をお願いします!

SYO (映画ライター)

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイトの勤務を経て映画ライターに。「CINEMORE」「FRIDAYデジタル」「Fan's Voice」「映画.com」「新R25」「DVD&動画配信でーた」等に寄稿。Twitter「syocinema」

よく読まれている記事