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【辛酸なめ子コラム】「おじカワ」眞島秀和&今井翼・握手止まりの”奥ゆかしい距離感”に萌え

#眞島秀和
2020年9月15日 by

眞島秀和さん主演ドラマ「おじさんはカワイイものがお好き。」が最終回を迎えました。

「気持ちは思っているだけでは伝わらない」というメッセージが込められた最終回は、SNS上で「感動した!」「完全におじカワロス」「癒やしの時間をありがとう」など大絶賛する声が多く、「#おじカワ」「パグ太郎」「小路さん」もトレンド入り。

コラムニストの辛酸なめ子さんも「おじさんはカワイイものがお好き。」にハマっていたそう。全話視聴後の感想をお伺いしました!

おじさんをかわいいと思うことで人生が豊かに生きやすくなる!?

このところ、おじさんブームが来ているそうですが、日本の平均年齢は48.4歳。大多数がおじさん、おばさんという国で、おじさんをかわいいと思わないとやっていけません。おじさんの魅力を見つけることで、人生が豊かに生きやすくなります。

ドラマ「おじさんはカワイイものがお好き。」は、少年のような心を持ったおじさんが主人公。かっこよくて仕事もできるイケオジ、小路三貴は営業部課長としてクールに仕事していますが、幼少期にプレゼントされたパグ太郎のぬいぐるみに夢中になってから、ずっと心にパグ太郎がいます。キャラを密かに集め続けて、ひとり愛でる日々。好きすぎて時々パグ太郎の幻覚が見えるほどに……。そんな小路は、会社の同僚でライバルの鳴戸にかわいいもの好きを見抜かれそうになったり、居候している甥の真純にバレないようにパグ太郎グッズを隠したりしながら、社会生活を営んでいます。

テーマは友情!でもおっさんずラブ的な萌えも漂う

小路がある日、パグ太郎のガチャガチャに夢中になっている姿をひとりの男性に目撃され、その「中目黒のダンサーみたいな」イカつい雰囲気の河合ケンタと運命的な出会いを果たします。ケンタは偶然にも小路の会社の取引先の外注デザイナーで、2人は再会し、「同志は目を見ればわかる」そうですが、お互い「カワイイもの好き」であることを知り、親交を深めます。

女性社員は何人か出てきますが、主要な登場人物は、小路、ケンタ、美少年の真純、屈折した同僚の鳴戸の4人で、それぞれの友情が交錯。ちょっと「おっさんずラブ」っぽい、萌えの空気感(眞島秀和が主演ということもあり)が漂っています。ちなみに小路は、名字が「おじ」で、甥がいるという意味でも「おじさん」。40歳と設定はちょっと若めですが、二重の意味でおじさんと呼ばれるのはしかたない、と同年代を納得させる要素があります。

2人の友情は両思いなのに、なかなか素直になれない

「おじカワ」は全5話。これまでの流れはというと、ファンシーショップに出かけたり、一緒に出張に行ったりで交流を深めていた小路とケンタですが、小路の元妻と路上で遭遇して微妙な空気になった一件や、ケンタが友人の前でカワイイもの好きを否定したこともあって、2人の関係に暗雲が立ちこめてきたのが第4回。「俺、しばらく小路さんとは会えません」とケンタに言われてしまい、傷心の小路さんでした。

寂しくなった小路は、子ども時代から一緒の、使い込まれて汚れたパグ太郎に顔をうずめて抱きしめます。「ちょっとだけ似てるんだよね……」と、ケンタの顔を思い浮かべながら。ケンタを演じているのは今井翼ですが、ちょっとふっくらしたのと、哀愁漂う黒目がちの瞳がパグ太郎とかなり似ています。いっぽうのケンタも女性といい感じになりながら、彼女のスマホの待ち受けがチベットスナギツネの写真なのを見て、よく似ている小路のことを思い出します。2人の友情は両思い……なのに世間体や社会的なしがらみが気になってなかなか素直に前に踏み出せません。

男の沽券に関わらず、世のおじさんはかわいいもの好きを公言してもいい!

女性同士なら、アイドルだったりキャラのファンをわりと公言して仲良くなれる印象ですが、やはり男性は「男の沽券」という概念に引っ張られてしまうのかもしれません。ちなみに以前、知人にシルバニアファミリー好きのおじさんがいましたが、とくに違和感や抵抗は感じなかったので、世のおじさんはもっとカワイイもの好きを公言して良いような気がします。

仕事の現場でケンタと再会したのに、小路は素っ気ない態度を取ってしまい、帰宅して部屋でひとり「ああ、もう〜!!」と叫んだりしていました。その前にさり気なくシャワーシーンも出てきて、40代とは思えないひきしまった体と肌の美しさに、世の同年代は希望を見出したことでしょう……。

普通の会社員でいたって地味なファッションの小路は、デザイナーで自由な雰囲気のケンタに最初から一種のコンプレックスを抱いていたようです。疎遠になってしまい「中目黒のダンサーのケンタくんとおじさんの俺が友だちになれるはずなかったんだ!」と内心、悶々とする小路。ちなみに中目黒のダンサーと決めつけてますが、デザイナーだと、世の視聴者は心で突っ込みを入れたことでしょう。

パグ太郎の黄色一色の小路家。ゴッホの苦悩を彷彿とさせる!?

いつの間にか小路の家はソファーカバーやテーブルクロス、テレビのカバーなどほぼ黄色系で、パグ太郎の色に染まっています。この節度を超えた黄色の多さは、まるでゴッホの「ひまわり」や「黄色い家」を連想させます。ゴッホもひとり「黄色い家」でゴーギャンとの関係に悩んでおかしくなっていたことを思うと、小路とケンタの友情はどうなるのかハラハラさせられます。

結局、鳴門や真純に応援されて、小路とケンタは和解します。ケンタから「いつもの場所で待ってます」とLINEが来て、「まだあきらめられない!」「俺は君に会いたい!!」と、ケンタの居場所を探して表参道や銀座を駆け巡る小路。博品館のキャラグッズコーナーで再会するのですが、ちょうどパグ太郎コーナー前に立っているケンタが、まるでパグ太郎をそのまま擬人化させたようでした。

小路とケンタの握手止まりの”奥ゆかしい距離感”

公園でお互い、今までの態度を謝り、感極まった小路は「俺は、ケンタくんが好きだ!」と叫んで肩をつかみます。嬉しくてしゃがみ込んでしまうケンタ。「俺も、おじさんが好きです!」とケンタも告白し、ガシッと握手していました。そして2人は、小路が当選していて一緒に行こうと思っていた、パグ太郎ドリームショーの会場に急いで向かうのですが、ショーはすでに終了。でもまだ現地にいた着ぐるみのパグ太郎と会えて、興奮した小路がハアハアあえぐ姿がちょっとセクシーでした。小路とケンタの関係は友情以上であることはまちがいないですが、握手止まりという奥ゆかしい距離感に萌えを感じます。

精神的に一線を超えた小路&ケンタ。これが男性同士の新しい関係性?

と、思っていたら最後のシーンで、2人が行きつけのカフェでそれぞれの推しキャラのアイテムを家から持って行ってテーブルに置いてお茶をする姿を見て驚きました。

ケンタが人に言えないで隠していたクマのドールハウスと、小路が子ども時代から大事にしている汚れたぬいぐるみをカフェで堂々と見せ合うなんて……。これは精神的に一線を超えたといっても良いのではないでしょうか?  ドラマ「おじさんはカワイイものがお好き。」は、男性の新しい関係性を提示してくれているようです。日本のキャラ文化や萌えカルチャーが成熟していることに気付かされ、静かな感動に浸りました。

おじさんはカワイイものがお好き。のTVログの口コミ&感想は?

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辛酸 なめ子

漫画家・コラムニスト 武蔵野美術大学短期大学部デザイン学科卒。雑誌連載、執筆活動の合間を縫ってテレビ出演も。

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