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菅田将暉

【映画ライターが分析】真の意味での“表現者”・菅田将暉の5つの才能

#菅田将暉
2020年8月4日 by

映画ライターのSYOと申します。日本のドラマ・映画界に欠かせない俳優さんの「5つの魅力」を分析する本企画、ついに11回目を迎えました。

今回は、満を持して菅田将暉さんを特集。放送中のドラマ「MIU404」への参加、Creepy Nutsとのコラボ楽曲を発表、所属事務所の先輩・中村倫也さんとの共演番組が近々オンエアなど、俳優活動・音楽活動の両面で、日々私たちを楽しませてくれています。

テレビやSNSを観ていると、明るくて元気なイメージが強い菅田将暉さんですが、こと映画やドラマの世界の中では、全く違う表情を見せるのが印象的。過激な役柄に次々とぶつかっていくチャレンジャーであり、真の意味での“表現者”といえるでしょう。

1993年生まれの菅田将暉さんは、2009年の特撮ドラマ「仮面ライダーW」でデビュー。そこから十余年にわたって、センセーショナルな作品から王道の娯楽作まで、幅広く活躍してきました。

今回は、そんな菅田将暉さんの魅力を、5つのポイントで考えていきたいと思います。

引用: Paravi

1 演技の“火力”が抜群!過激なキャラに次々挑戦

個人的に、「役者・菅田将暉」のスゴさを1つ挙げるとするなら、やはりここになります。他の役者さんと比べても、彼の出演作・役どころは演じる側も観る側も体力を消耗する難役が多い。観終えた後も、目の前がチカチカするくらいのショックが続く……。だからこそ菅田将暉さんという役者は、稀有であり貴重なのだと思います。

“ライダー俳優”として華々しくキャリアをスタートした菅田将暉さんは、2013年の映画「共喰い」で、オーディションを勝ち抜き主役に抜擢。ここで演じた高校生が、その後の彼の活動に大きな影響を与えます。

「セックスの最中に相手を殴る」父親の血を引き、いつか自分もそうなるのではないかと不安を感じながら、暗い欲望と理性の狭間で日々を送るキャラクター。セックスシーンにもチャレンジし、高い評価を得ました。

本作に象徴されるように、菅田将暉さんの出演映画には「暴力」と「性愛」をテーマにした作品が多く、映画「ディストラクション・ベイビーズ」では暴力衝動がはちきれた危険な少年を怪演。感情が爆発して喚き散らすシーンや、道徳心が吹っ飛んでしまった狂気の表情など、鳥肌が立ちます(柳楽優弥さん・小松菜奈さんの演技もすさまじいです)。

映画「あゝ、荒野」では、過酷なスケジュールの間を縫って肉体改造を行い、ボクサー役に挑戦。序盤からすさまじい濡れ場が用意されており、衝撃を受けることでしょう。山田裕貴さんとの試合シーンは鬼気迫る勢いで、湯気のように立ち上る菅田将暉さんのオーラに圧倒されます。

2 永遠の無邪気さ…演技の“純度”がずっと変わらない!

もう1つ、菅田将暉さんにしかない特色は、「無邪気さ」。先に挙げた「ディストラクション・ベイビーズ」もある種の純粋な役ですし、役者という立場を超えたピュアさが、画面から飛び出すように伝わってくるのです。しかも、キャリアを重ねてもその“純度”が変わらないのがすごい!

常に少年のような無邪気さを保ち続ける、エバーグリーンな魅力。それが、作品のテイストによって明暗が分かれていくのも、菅田将暉さんの出演作の面白さです。ほっこりさせられるのはドラマ「民王」や、笑顔がまぶしい映画「となりの怪物くん」でしょうし、綾野剛さんが新境地を開いた映画「そこのみにて光輝く」は、シリアスな物語の中で明るさを放ち、物語の推進力の役割を果たしています。

ちなみに「そこのみにて光輝く」では、純粋がゆえに暴力という手段に傾いてしまうプロセスをシームレスに演じており、キャラクターの感情が波打っていく様子がとてもなめらかです。また、映画「闇金ウシジマくん Part2」では、無邪気をカスタマイズして「無知がゆえに堕ちていく」姿をエネルギッシュに熱演。不良少年が裏社会に足を踏み入れた結果、壊れていく姿をヒリヒリする演技で魅せてくれます。

代表作の1つでもある映画「溺れるナイフ」では、ピュアさを極限に高めていき、神々しささえ感じさせるキャラクターになりきっています。小松菜奈さん演じるヒロインに唾をかけてからキスをするなどぶっ飛んだ役なのですが、金髪の見た目もあり、この世とは思えない美しさを堪能できるはずです。

3 驚異的な役への入り込み…佇まいとまなざしで魅せる

上2つで挙げたものは、いわば“動”の演技。菅田将暉さんはアクティブかつエネルギッシュに動くことで、作品にダイナミズムをもたらせられる役者かと思います。しかし、その特長を逆利用した“静”の演技もまた、「ギャップ萌え」に近い色気があって素晴らしい。

映画「生きてるだけで、愛。」では、内向的な週刊誌の記者を演じました。趣里さん演じる躁うつを抱えた女性の恋人で、「…ごめん」を多用してしまう、人生に疲れた人物。本作では彼の躍動感は鳴りを潜め、ぐっと抑えた演技を披露しています。ストレスに耐えられなくなってパソコンを投げ捨てるシーンは、身を斬られるような痛みが画面を通して伝わってくることでしょう。苦しい部分も多い映画ですが、そのぶん突き刺さるものがあるはずです。

映画「二重生活」で演じたゲームデザイナーもまた、自分から多くを語らない落ち着いた人物。大学の課題で「尾行」を始めた同棲中の恋人(演じるのは門脇麦さん)を見守りながら、少しずつ2人の空気が変わっていくのを感じていて……。セリフは少ないのですが、どこか寂しげな佇まいが心に残る、味わい深い演技が見られます。

ドラマ「3年A組 今から皆さんは、人質です」では、何を考えているのかわからない不気味な雰囲気を醸し出し、「生徒を人質にとる教師」という役柄に生々しさをもたらしました。また、映画「海月姫」では女装男子を演じており、見た目や佇まいからも女性らしさが伝わってくるように、苦心したそうです。

4 耳に残る、ハスキーと幼さが共存した美声

今回は菅田将暉さんの演技面に比重をかけてみてきましたが、残り2つは役者業以外も織り交ぜながら、みていきましょう。菅田将暉さんの特長は、少年と大人の中間にあるような、ハスキーでいて幼さの残る声。ミュージシャンとして成功しているのも納得です(個人的なオススメ曲は「ロングホープ・フィリア」です)。

彼のやや硬質な美声が生かされているのが、ミュージシャンを演じた映画「キセキ あの日のソビト」です。「GReeeeN」の結成秘話を描いた映画で、松坂桃李さんと兄弟役、メンバーは横浜流星さん、成田凌さん、杉野遥亮さん……豪華すぎますね。本作では、音楽が大好きな大学生の役で、松坂さん演じるプロミュージシャンとの対照的な演技も印象に残ります。劇中バンド「グリーンボーイズ」の楽曲「声」、気分を上げてくれる名曲なので、映画と合わせてチェックしてみてください。

そして、菅田将暉さんが「セリフを立てる」演技で主人公を力強く演じた映画「帝一の國」と「アルキメデスの大戦」にも、注目です。「セリフを立てる」というのはちょっと演劇用語なのですが、ことばの1つひとつをしっかり立たせるようなイメージで、強くはっきりと発音するような発声方法のことを指します。

映画「帝一の國」は、総理大臣を目指す学生の奮闘記で、菅田将暉さんの顔芸と発声、そして全力投球の演技が微笑ましい快作です。野村周平さん、竹内涼真さん、間宮祥太朗さん、志尊淳さん、千葉雄大さん、永野芽郁さんというヤングスターが勢ぞろいした映画でもあります。本作の菅田将暉さんを観ていると、不思議と元気になれるはず。

映画「アルキメデスの大戦」は、ちょっと変わった数学の天才を演じた戦争ドラマ。ものすごい量のセリフをまくしたてるシーンなど、彼の“声”の演技のすさまじさを、十二分に感じられるはずです。菅田将暉さんの少年らしさと、傲岸不遜な天才役が見事にマッチした作品です。

5 喜劇でも、ラジオでも!キラリと光る笑いのセンス

いよいよ最後の項目です。菅田将暉さんはラジオのパーソナリティも務められていて、トーク力にも定評がありますよね。楽しそうに話す声を聴いているだけで、癒される方も多いのではないでしょうか。

そんな彼のコメディセンスが発揮された映画が、「セトウツミ」。池松壮亮さん演じる同級生と川辺でだべるだけのコメディなのですが、2人の掛け合いが面白すぎて病みつきになってしまいます。菅田将暉さんのボケと池松壮亮さんのツッコミ、そこにすかさず切り返すも、軽くあしらわれ……。一流の芸人コンビによる、コントを観ているような気分になれます。

芸人といえば、映画版の「火花」ではお笑い芸人に挑戦。桐谷健太さん演じる先輩芸人に憧れるポジションです。Netflix版「火花」では林遣都さんが同じ役を演じており(大傑作です)、両者を見比べてみるのも一興かもしれません。大ヒットした実写版「銀魂」では、個性豊かな、いや豊かすぎるメンバーたちにツッコミ続けるキャラクターを好演。恐ろしくカロリーを消費しそうな役どころですが、見事にものにしています。

まとめ

爽やかな少年性を持ちながら、暴力や性愛といったディープな世界観に、するりと溶け込める才能。菅田将暉さんのような役者は、今後も現れてこないのではないか?という気がします。優れた役者さんはみな自分だけの得意分野があるものですが、菅田将暉さんには、役者という概念すらも飛び越えてしまうような軽やかさがあります。

この先も、小松菜奈さんと共演した映画「糸」、二宮和也さん・妻夫木聡さんと共演した映画「浅田家!」、「最高の離婚」の脚本家・坂元裕二さんによる映画「花束みたいな恋をした」、巨匠・山田洋次監督による「キネマの神様」などが待機中。それぞれどんな表情を見せてくれるのか、そしてどれほど僕たちを圧倒してくれるのか、身震いが止まりません。

表現者でありながら、エンターテイナーでもある傑物。
菅田将暉さん、やはり計り知れない存在です。

菅田将暉 歴代出演ドラマを星評価!

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SYO (映画ライター)

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイトの勤務を経て映画ライターに。「CINEMORE」「FRIDAYデジタル」「Fan's Voice」「映画.com」「新R25」「DVD&動画配信でーた」等に寄稿。Twitter「syocinema」

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