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【映画ライターが分析】艶やかな”甘い毒”を持つ役者・高橋一生の5つの才能&とろける低音ボイス

#高橋一生 #SYO
2021年7月1日 by
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映画ライターのSYOと申します。日本のドラマ・映画界に欠かせない俳優さんの「5つの魅力」を分析する本企画、第5回目を迎えました。今回は、高橋一生さんについて書かせていただきます。

高橋一生さんは、1980年生まれの41歳。この5,6年で人気が急上昇したイメージがありますが、1995年のジブリ映画「耳をすませば」など、10代のころから様々な作品に出演してきました。大河ドラマはこれまで、なんと5作品に出演しているそうです。

個人的に、高橋一生さんが「良い役者だなぁ」と思った最初の作品は、小学生のときに観た映画「ホワイトアウト」でした。2000年に公開された、ダムがテロリストに乗っ取られるアクション映画で、織田裕二さん、松嶋菜々子さん、佐藤浩市さんと共演。高橋一生さんはダムの作業員を演じています。とっても“おいしい”役なので、未見の方はぜひチェックしてみてください。

今回は、高橋一生さんのこれまでの出演作から新作ドラマ「竜の道 二つの顔の復讐者」に至るまで俯瞰しつつ、映画ライターの視点で分析していきます。高橋一生さんの穏やかな雰囲気がとても好きなので、僕も淡々としたテンションで綴っていきたいと思います。

引用: FOD

1 疲れた心にそっと寄り添う「低音ボイス」

引用: FOD

高橋一生さんの大きな魅力は「包容力」にあるかと思いますが、そこで重要な役割を果たしているのが素敵な声。現在オンエア中のコミックシーモアのCMでは、疲れた女性に癒しの時間を届ける“漫画の精霊”的な役を演じていますが、彼の声には無限のヒーリング効果があるように思います。

その美声を活かして、過去にはプラネタリウムのナレーションも担当されたとか。眼前に広がる夜空、空間いっぱいに響く高橋一生さんの声…想像しただけで至福です(美声に関係があるかはわかりませんが、のどぼとけがとても綺麗ですよね)。

個人的に高橋一生さんの「優しい」声が印象的だったのは、映画「億男」の大友啓史監督と組んだ「3月のライオン」での先生役。ちょっと頼りないけど、神木隆之介さん演じる主人公を優しく見守り、背中を押してくれる重要な役どころでした。観ているうちに、こちらも霧が晴れたような気持ちになったものです。

2 優しさの陰にある、所在無げな「孤独感」

ただ、高橋一生さんの持つ「優しさ」や「包容力」は、決して力強いものではない。いつもどこか、弱さや「孤独感」とセットになっているところが、重要なように思います。

つまり彼の雰囲気や存在感は、いつだって切ない。だからこそ、優しい演技をされると泣きたくなるような気持ちになるのかもしれません。

高橋一生さんのモノトーンの雰囲気が象徴されているのが、斎藤工さんが監督を務めた主演映画「blank13」。大好きだった父が、借金を残して失踪。13年ぶりに再会した彼は、ガンで余命3ヶ月だった…。高橋一生さんは、愛憎が入り混じって自分でもどうしたらよいか分からなくなった主人公の複雑な内面を、水にインクが染みていくように静かに、ですが見事に演じ切っています。

父親役リリー・フランキーさんとの絶妙な距離感、つぶやくようなモノローグ(独白)、セリフ一つひとつを相手に“届ける”のではなく、地面に“落とす”内省的な演技など、この作品の中での高橋一生さんは、どの瞬間も孤独で哀しい。儚い演技が印象的でした。

金髪に染めて出演したドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」では、夢を抱いて上京するも、望みどおりに生きられなかった人生に苦しむ地方出身者の絶望を、全身全霊で表現。感情を爆発させるシーンは、いつ観ても泣かされてしまいます。

3 内向的な演技を逆手に取った「笑い」

ここまで書いてきたとおり、高橋一生さんの“らしさ”は外に向かう派手な演技ではなく、内に向かう繊細な演技にあるかと思います。その才能を上手に変換したものが、クスッとさせられてしまう「笑いの演技」。

「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」と同じ坂本裕二さんが脚本を務めたドラマ「カルテット」では、ついつい口を出さずにはいられない潔癖症気味の音楽家を演じています。「唐揚げにレモンをかけるか、かけないか」で怒ったり、口癖の「じゃないか」を仲間にからかわれてしまったり…。“間(ま)”と“早口の演技”の使い分けが絶妙で、「いるいる、こういう人!」と思わされることでしょう。

高橋一生さんの「笑いの演技」は、セリフやテンションに依存し、デフォルメした「笑わせに行く」ものではなく、キャラクター自身の性格を模写するリアルなものです。つまり、「面白さ」を役を通して提示するのではなく、「面白い人」になりきるということ。

どういうことかというと、そのキャラクターを面白いと思うのはあくまで周囲の人間や視聴者であって、本人は大真面目なのです。観る側に委ねる「内に向かう」ユニークな演技は、高橋一生さんならではといえるでしょう。

映画「シン・ゴジラ」では、緊張感漂う作品の中で、数少ないギャグパートを担当。ひねくれた理系オタクながら、自分の説が間違っていると気づいた際に「わあああこんなんアリかよ!」と頭を抱え、その後「ごめんなさい」と素直に謝る姿が観客の笑いを誘いました(ちなみにこの「ごめんなさい」は、高橋一生さんのアドリブだったそうです)。

4 ここぞという場面で魅せる「目力」

とはいえ、高橋一生さんが「繊細で心優しいキャラクター」しか演じられないわけではありません。彼の“怖い”部分を垣間見られるのが、ドラマ「凪のお暇」です。

この作品では、ヒロインの劣等感をあおり、高圧的に接するサディスティックな恋人を演じています。“人生リセット”したヒロインの引っ越し先に押し掛け、「また来るね」と告げるシーンはとても怖い…。目が笑っていないのです。

ただ、実は「隠れ依存症」の気があり、自分自身も周囲の空気を読みすぎて本音を言えなくなってしまった“被害者”であることが次第にわかってきます。そして、ヒロインのことをちゃんと好きだったことも…。ある種、これまでに述べてきた高橋一生さんの魅力が凝縮されたキャラクターかもしれません。

4月から放送開始されるドラマ「竜の道 二つの顔の復讐者」では、玉木宏さん演じる双子の兄と組み、恩人を死に追いやった男に復讐を誓うエリート官僚という、シリアスなキャラクターに挑戦するそう。予告編などでは「目力」も確認でき、高橋一生さんの“攻め”の演技が見られそうです。

5 静かに、艶やかに物語る「肉体」

 高橋一生さんは、ラブシーンの魅せ方もとても美しい。最新主演映画「ロマンスドール」では、寡黙なラブドール職人を繊細に演じつつ、エモーショナルなラブシーンを作り上げました。

エロを通り越し、観ている側が思わず泣いてしまう切ないベッドシーンの数々。映画としても完成度が非常に高く、妻役を演じた蒼井優さんとの空気感も絶妙です。ご興味がある方は、ご覧になっていただければ嬉しいです(後半からラスト、号泣です)。

その他、ドラマ「モザイクジャパン」ではAVメーカーの社長を怪しく演じ、長澤まさみさんと共演した映画「嘘を愛する女」では、経歴がすべて嘘という謎めいたキャラクターに扮しています。雑誌「anan」の表紙でヌードを披露し、話題になったことも記憶に新しい出来事です。

筋骨隆々とはまた違う、柔らかな質感。浮き出る血管、首から鎖骨にかけての滑らかなフォルム…豊富な舞台経験が関係しているのかもしれませんが、ただ美しいだけではない、罪や背徳に似た“カルマ”が、彼の肉体には宿っているような気がします。肉体から醸し出される“物語感”がすさまじいため、迂闊に見るのはたまらなく危険ということです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

今回ご紹介した高橋一生さんの魅力は、あくまで表層に過ぎません。しかしここが、ぎりぎり正気を保てる分水嶺だと思っています。あくまで個人的な意見ですが、これ以上踏み込むと、“沼”から抜け出せなくなる予感がするのです。

儚げで、優しく、艶やかで、怖い。引きずり込まれたら、もう戻れない。高橋一生という役者は、甘い毒で観る者の自制心を奪うのです。

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※ページの情報は2021年7月1日時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。

SYO (映画ライター)

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイトの勤務を経て映画ライターに。「CINEMORE」「装苑」「CREA」等に寄稿。劇場公開映画の脚本・編集協力や映画祭の審査員等も務める。

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